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暮らしと健康
獣医師執筆記事

地球で伴侶動物と暮らす~ワンヘルス/ワンウェルフェア~

 2022年令和4年も押し迫り、いよいよ年末ですね。毎日まさに真冬の寒気が日本を覆っています。しかし、思い起こすと東京都心でも数十年前は毎朝小さな池の水や、道路の水たまりが凍っていたものです。また、昨年このコラムを始めた時には白梅がとても早く開花し始めていましたが、今年はその様子はなく少し遅いようです。

OneHealth/ OneWelfare(ワンヘルス/ワンウェルフェア)の始まり

 1年の締めくくりに私たちが伴侶動物と暮らすこと、そしてこれからの地球に大切なことをお伝えしたいと思います。

OneHealth/ OneWelfare(ワンヘルス/ワンウェルフェア)という言葉を皆様も耳にされたことがあるのではないかと思います。特にOneHealth1993年の世界獣医師会大会でのベルリン宣言の中に「人と動物の共通感染症の防疫推進や人と動物の絆を確立するとともに平和な社会発展と環境保全に努める」という文言があり、それがこの概念の源になっていると言われています。
その後、2004年のニューヨークロックフェラー大学でのワンワールドワンヘルスのシンポジウムに、世界保健機関(WHO)や国際獣疫事務局(OIE)、国際連合食糧農業機関(FAO)などの世界的な組織が集結し、「人と動物と自然環境の健全性を保つことが人と動物の共通感染症などの予防に役立つ」ことを確認し、そのための12の行動計画:マンハッタン原則を作成しました。さらに2012年には世界医師会と世界獣医師会がワンヘルス推進の覚書に調印し、世界的な取り組みとして世界中の人々が注目するものとなりました。

日本でも2016年に「第2回世界獣医師会世界医師会”One Health”に関する国際会議」が北九州市で開催され、人と動物の共通感染症、薬剤耐性菌、人と動物の絆を深める様々なテーマについて話し合い、ワンヘルス実践の礎となる「福岡宣言」が採択されました。
この時、日本で初めて小児科病棟でのアニマルセラピーを実践した聖路加国際病院前副院長で現在三井物産の医療所長をなさっている松藤凡先生と私の母柴内裕子獣医師が講演者として参加させていただきました。多くの人々が一丸となって人と動物と地球環境の健全を真剣に考える素晴らしい場です。

OneHealth/ OneWelfare(ワンヘルス/ワンウェルフェア)とは

色々と歴史について書きましたが、つまり、人と動物と地球環境は一つの医療と一つの健康であり、動物が健全で自然環境が健康でないと人も健康健全には生きていけないという、当たり前のことではあるのですが、その大基本の事実を皆で再認識し、全てがつながっているということを分かち合ったということです。それは実はとても大切で大きな認識だと思います。

例えば産業動物としての生涯の中でも、より健康に気分良く暮らし、予防的な抗菌薬の使用などを行わずに生きていければ耐性菌の発生への対策になります。
伴侶動物と共に暮らすことで高齢者の通院回数が2割減じれば医療費の大きな削減になります。動物と暮らす人の方が介護保険の利用が少ないことなども最近の知見として発表されています。

地球は一つしかなく、少なくとも私たちが現代の科学で気軽に行ける距離に同じような環境の星は見つかっていないのです。今年はついに人口が80億人を超えました。1970年初頭には40億人ほどだったわけですから、環境への影響は大きいでしょう。

この世に生を受ければ誰もが衣食住を必要とし、幸せを欲し、自らの希望、夢を叶えようと必死に生きます。大きな地球、広大な自然、80億人の想像を絶する多様な人々、世界中に存在するおよそ196の国々、それらの全てを実は私たち一人一人の毎日のちょっとした行動が担っています。ちょっとしたことだから、自分だけだったら良いだろう、という事は私たちが生きる全ての環境につながる大きな行動なのではないでしょうか?地球の責任を担っている一人一人であるという自覚を私たちも今日からでも、持たなくてはいけないのだと思います。

例えばあなたの傍の大切な伴侶動物を守るために、大切な家族を守るために、今日の今からのワンアクション:一挙手一投足が大切な意味を持つのではないでしょうか?とはいえ、重責を感じていきましょうという意味ではありません。皆がこうした現実を知りながら、少し気をつけていくことで大きな違いが生まれてくるのだと思います。基本的に私たちは心身健全に、楽しく、毎日笑って、愛情を感じたり、悲しみを感じたり、生き物としての素直な感情に正直に、そして人間としての理性を持って律を保ち、心から素晴らしいと感じる人生を送るために感謝の心で毎日を生きていけば良いのではないでしょうか。

うちにも可愛い犬と猫と魚と家族がいます。私の場合は、うちの子たちを可愛がって毎日歯磨きをしたり、ブラッシングをしたり犬の目の下のケアをしたり、猫のご飯をあげて、遊んだりトレーニングをしたり、魚の水環境を整えて、草木を愛でて、香りを楽しんで、家族のためにも自分自身のためにも、仕事で出会う伴侶動物とご家族のために、誠心誠意尽くしていくことだと考えています。

柴内先生のご家族アルマ15歳 シニアしつけ教室に子供と通っています。
伴侶動物は歳を経るほど大切になる私たちの宝物です。

最後に

1年間コラムを読んでいただきありがとうございました。
また、皆様とお会いできる機会がございましたら幸甚に存じます。
皆様の新しい年、そしてこれからの人生が素晴らしいものであることを心から祈念致しております。

最後に伴侶動物、特に犬と猫はその筆頭で、数万年前にお互いがお互いと共に生きることを選んだ奇跡のパートナーです。

私の友人のサイトにも動物福祉に関する記事がありますので、ぜひ見てみてください。こちら


過去に柴内晶子先生が執筆された
人と動物の絆~Human Animal Bond~ 記事一覧はこちらから

 

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