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暮らしと健康
獣医師執筆記事

伴侶動物への混合ワクチン接種~適切な時期と副反応について~

6月中に酷暑が続き、このままでは今年の夏はどうなってしまうのかと皆様心配されたと思います。
今もかなり暑いですが少し和らいだ暑さで気持ちも身体も小休止でしょうか?
木々や草木もかなり暑さでうなだれているように感じられます。
動物達も例年以上に暑さ対策が必要ですね。以前熱中症についてはお伝えしていますが、日々のお散歩もキャリーに入ってのお出かけもかなり入念に暑さ対策をした上で、お出かけ頂きたいですね。今は様々な暑さ対策グッズが入手できますのでリサーチと実行をお願いいたします。

混合ワクチン接種について

今回は混合ワクチン接種についてお伝えいたします。
アウトドアでの活動をする予定のワンちゃんには、レプトスピラワクチン接種を急ぐ時期になるかもしれませんのでインフォメーションをお届けしますね。
混合ワクチンは犬も猫も法律的な義務はありません。しかし、それぞれの感染症から身を守るために最小のデメリットで最大の効果を得るために接種は薦められます。世界的な推奨ガイドラインが出ており、それは次にお示しするとおりです。

ワクチン推奨ガイドライン

効果的な接種の間隔(犬猫共通)
初年度(0-1歳)8週齢、12週齢、16週齢、24週齢の4回接種が原則
その後の追加接種は4歳齢、7歳齢、10歳齢、13歳例(およそ3年毎の接種) 
⇒以後は健康状態に応じて検討

推奨されるワクチンの種類
犬 5種混合ワクチン
猫 3種混合ワクチン

※犬の集まる公園や集会場所、川沿い、山、南方に行く場合はレプトスピラワクチン接種を推奨。レプトスピラワクチンの効果は6ヵ月から1年と言われています。

 

<犬のワクチン接種プログラムの推奨団体>
アメリカ動物病院協会、世界小動物獣医師会、日本臨床獣医学フォーラム他

<猫のワクチン接種プログラム推奨団体>
アメリカ猫専門医協会、アメリカ動物病院協会、世界小動物獣医師会、日本臨床獣医学フォーラム 他

日本では以前は毎年接種をしていましたが、最近では多くの動物病院で3年以上あけて接種が推奨されています。ワクチン接種は非常に重要な身を守る方法なので、正しく捉えて正しく接種することで最小限のデメリットで最大限の効果を得る事ができます。

ワクチンの副反応

やはり異種蛋白質を身体に取り込むことになるので、ワクチンの副反応への対策は必要になります。
また副反応は、今までに幾度も接種して何も反応はおきていないから大丈夫というものではなく、いつでも一番最近の接種で起きる可能性のあるものです。接種時の体調や環境諸条件でも変化するかもしれません。大切なことは、ワクチン接種を行う前に身体診察を受け、接種までの状態などの問診も受けて主治医に持病との関連も相談した上で接種することです。持病があり、その疾患の性質によってはワクチンを見合わせる場合もあります。(例えば免疫疾患などの場合はワクチン接種を行わない場合もあります)
ワクチン副反応については、接種前に必ず獣医師から説明を行い同意書も頂くようになっています。また、接種部位も明記してお渡しします。

接種部位に後々腫瘤ができる場合もあるので家族も主治医も認識しておき、いち早く対処ができるようにしておくことが大切です。(必ずしも悪性のものという事ではなく局所の接種反応の場合もあるので早く調べるということが大切です)接種後数十分は院内またはごく近くで待機して頂き、何か症状がでたらすぐに対応できるようにします。

レプトスピラワクチン

また、夏にアウトドアを楽しむ計画の犬たちはその外出の1ヵ月ほど前にレプトスピラワクチン接種をお勧めすることが多いです。
前述のように効果が6ヵ月から1年のこのワクチンは、毎年アウトドアレジャーなどに行かれる場合は毎年必要になると思います。
不特定多数の犬に出会う場合も同様です。
レプトスピラ症は、以前は静岡県より南に発生する疾患として知られていましたが、最近では関東地方およびより東でも発生が認められているようです。交通機関の発達もあり、犬の行き来が激しくなっているため、地方によって危険度が高い、低いとは言えなくなっているのかもしれません。
そしてこの疾患は人と動物の共通感染症でもあります。人も犬も楽しいアウトドアの思い出として残せるように、予防を万全にして行動してください。

 


柴内晶子先生が執筆された
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