初めての動物病院の受診には準備が大切
8月も早々と終わりを迎えようとしています。この数日、東京は夏の暑さが落ち着いて、薄曇りや雨の日々です。先日空を見上げた時には、随分高く、夏の終わりを感じました。
とはいえまだまだ暑さは続きますが…。
今までのコラムで皆さんに動物病院を上手に利用してくださいとお伝えしてきましたが、今回のコラムでは初めての動物病院に訪問するときのことを動物病院側の受け入れも含めて少しご案内しようと思います。
伴侶動物の受診先について
お仕事の都合などで引っ越しをする際には、人間の御家族の主治医、受診先の病院を考えますね。その時、伴侶動物の受診先も考えてあげてください。もちろん、新しく伴侶動物と暮らしはじめようと思ったときにも予め探しておくことが大切になります。
引っ越しの場合は、まず元の動物病院の主治医の先生に相談をして、行き先の地域で良い先生、おすすめの動物病院を尋ねてみると良いと思います。
そして、それまでに積み重ねてきた健康診断の資料、データを主治医の先生にまとめていただき、紹介先の先生宛にお手紙にしていただけると尚良いですね。費用がかかる場合もあるかもしれませんが大切な準備です。特に持病や既往歴(過去の病気歴)がある場合など、医療記録は必須になります。動物たちの数ヶ月は私たちの数年にあたることもありますので、必ず医療記録を携えて新しい動物病院に行かれることをお勧めします。
当院でも遠方の先生からご紹介をいただいたりご紹介をしたりすることもあります。行かれる先の地域でもお顔の見えるドクターにご紹介できると主治医としても安心なものです。また、ドクター同士で何か必要な情報を共有しやすい環境があると更に安心ですね。
医療記録について
医療記録はその動物のプロフィール、ワクチンなどの予防歴、既往歴、現在の治療、今飲んでいる薬の内容、食事内容などすぐに必要な情報が満載されているものが良いです。特に治療が現在進行形の場合は大変重要になります。
また、飼い主側の準備としては受診日までに動物病院に相談し、予約をして、初診日に行う内容などを相談しておくとより安心です。
前主治医から医療記録をもらっていても、あえて、初診の診察時には問診の時間が設けられるはずです。その時には過去から現在までのさまざまなことを質問される可能性が高いので、情報をある程度整理して行かれると良いと思います。問診の中では同じような質問がいくつもあるかもしれませんが、必要があり、あえてそのような形式になっています。
また、すでに病気を持っている場合はその病気に特化した専門家診療がある動物病院や、その分野を得意とする先生を選んでいくことも良いかもしれません。
動物病院の間で上手に連携ができると良いですね。
食事については、特に何を何g(またはカップにどのくらいなど)を何回食べているかを把握しておくことが大切です。食べているフードの名称が正確であるとありがたいです。
ご褒美(おやつ)についても種類や与えている量は重要な情報になります。
お引っ越し前の居住地域や、生活環境、同居している動物について、生活の中で遊んでいるオモチャの種類やどんな遊びをするのかなども問題解決の糸口になることがあるため、些細なことも整理していくことをおすすめします。
最後に
動物病院にも個性があり、それぞれの動物病院の院長やその会社の社長の考え方、個性が反映されるものです。
個々のご家庭がご自身のタイプに合った動物病院と出会い、伴侶動物との健康で楽しい暮らしを末長く続けていかれることを私たちは心から願っています。迷ったり、困ったりした時には主治医の先生に相談をしてみてくださいね。
柴内晶子先生が執筆された
人と動物の絆~Human Animal Bond~ 記事一覧はこちらから