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昆虫食
暮らしと健康

今注目の昆虫食!犬や猫のご飯としても大活躍⁉

近年、大手メーカーやコンビニでも昆虫を使った食品を見る機会が増えてきましたね。
昔から日本ではイナゴの佃煮や蜂の子など昆虫を食べる文化は存在していたものの、その見た目やイメージから好んで食べる人は少数だった昆虫食。
そんなマイナーな昆虫食が、代替タンパク質として人だけでなく犬や猫のご飯としても注目され始めています。
本記事では、なぜ昆虫食が世界で活躍し始めているのか、その背景や魅力についてご紹介します!

 

そもそもなぜ昆虫食が注目され始めたの?


近年昆虫が注目され始めた理由には、将来懸念されているタンパク質クライシスが関係しています。

タンパク質クライシスとは、動物や魚の肉などのタンパク質の需要が増加し、供給が追い付かなくなってしまうことを意味します。
人口の増加や富裕層の拡大によって、2000年から2050年までの間に食肉需要が2倍以上に増加すると予測されており、このままでは食肉の生産が追い付かなくなってしまうと考えられています1)。ちなみに、米国や欧州の特定国の食肉消費量を平均すると、全体の約23%は犬や猫が消費しているそうです2)。ペットとして飼われている犬と猫の総数が子供の数よりも多い日本3)4)においても、犬と猫が消費する食肉の量は多いと考えられ、このままでは愛犬愛猫のご飯にもタンパク質クライシスの影響が出てくるかもしれません……。また、食肉となる畜産動物を飼育していくためには、大量の飼料や水、土地といった地球の資源が必要となり、さらに畜産動物が排出する温室効果ガスの量も膨大なため、地球環境への負荷が大きくなることも懸念されているのです5)

畜産動物のお肉で需要を満せないのであれば、どのようにタンパク質クライシスを乗り越えて行けばいいのでしょうか……。
そこで脚光を浴びたのが代替タンパク質です。代替タンパク質には、大豆などから作られた植物肉や細胞を培養して作る培養肉など様々な種類が存在していますが、そのうちの一つが昆虫タンパク質なのです。

 

タンパク質クライシスの鍵となる!
昆虫食の強み


代替タンパク質として注目されている昆虫ですが、「牛や豚などの大きな畜産動物と比較し、とても小さく食べ応えがなさそうな昆虫がなぜ?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
小さいと侮るなかれ、昆虫にはタンパク質クライシス対策の鍵となる”強み”があるのです。

少ない資源でより多くのタンパク質源が得られる!

畜産動物を育てるためには多くの資源が必要です。例として、牛の体重を1㎏増やすために必要な飼料は約10㎏といわれており、肉を収穫できるまで育てるには膨大な飼料が必要となります。しかし、それだけの飼料をあげていても、その肉体のうち牛の可食部は40%程しかありません。
一方で、昆虫は生体重量1㎏を増やすために必要な飼料は少なく(例:コオロギは1.7㎏)、かつその可食部はほぼ100%です。つまり、同じ量の可食部を生産する場合、昆虫は牛の約15分の1と、とても少ないご飯の量で育てることができるのです。
また、飼料に限った話ではなく、昆虫は水や土地等の資源に関しても少ない量で育てることができます。

温室効果ガスの排出量が少ない!

牛や豚のゲップやおならに含まれる温室効果ガスが地球温暖化に大きく影響していると聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。実際、世界で排出される温室効果ガスのうち18%は畜産動物から排出されており、驚くべきことに運輸部門よりも高い割合を占めているそうです。
食肉を生産するためには多くの資源が必要なだけではなく、このような環境負荷が発生してしまいますが、昆虫はその点についても非常に優秀なタンパク質源です。
なんと、ミルワームやコオロギ、イナゴ等の昆虫から排出される温室効果ガスは牛の100分の1といわれています。

【資源と温室効果ガス排出量の比較】1)6)7)

昆虫が食べるご飯もサステナブル!

タンパク質クライシスで不足が懸念されているタンパク質というと“食肉”に目を向けがちですが、実は穀物といった植物性のタンパク質についても同様のことが考えられます。というのも、畜産動物の飼料の多くは穀物類であり、穀物生産量の約3割が飼料用として消費されているのだそうです8)。このまま食肉需要の増加と共に畜産動物の数が増え続ければ、人口の増加も相まって植物性タンパク質が足りなくなってもおかしくありません。
そんな懸念にも強みを発揮してくれるのが昆虫です。なんと、食用昆虫の養殖が盛んな米国や欧州では昆虫のご飯について「人用食品の副産物等を利用すること」という規定が定められています9)。ちなみにここでいう副産物とは、野菜の皮やヘタなど、人用の食品を加工する際にやむを得ず捨ててしまう部分を指しており、残飯や売れ残りといった廃棄物ではありません。
本来は捨てられてしまう副産物をアップサイクルしてくれる昆虫は、タンパク質クライシス対策の鍵となるだけでなく、フードロス問題にも貢献してくれる存在なのです。

 

昆虫は環境にやさしい、だけじゃない


少ない資源で育てることができ、さらに温室効果ガスの排出量が少ない昆虫は地球にとってとてもやさしいタンパク質源です。
しかし、昆虫食が注目されている理由は環境面に対するメリットだけではありません。

小さな体に栄養たっぷり!

食用昆虫はそれぞれ種や食べているご飯によって体に含まれる栄養に違いがあるものの、多くはオメガ脂肪酸等の良質な脂肪酸やタンパク質を含んでおり、加えて食物繊維や銅、鉄、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。
例として、弊社の犬用昆虫クッキー「スナッピーズ」に使われているアメリカミズアブの幼虫は牛の2倍以上の高タンパク質を含むほか、ω-6脂肪酸、ω-9脂肪酸、ミネラルなどの栄養素も含まれており、さらに他の昆虫に比べてカルシウムが豊富です10)11)
食用として一貫したご飯が与えられている昆虫は栄養成分のブレも少なく、安定して供給できるという点においても優秀なのです。

【アメリカミズアブの幼虫粉末の栄養素】

人獣共通感染症の伝播リスクが低い!

食肉用の畜産動物を飼育する場合、野生の環境に比べて高密度での飼育となり、鳥インフルエンザや牛海綿状脳症といった人にも感染する可能性のある人獣共通感染症が発生するリスクがあります。
一方、昆虫は系統分類学的に鳥類や哺乳類等の畜産動物よりも人と遠く離れているため、人との間で伝播する病原菌やウイルスは少なく、人獣共通感染症の伝播リスクは低いと考えられています。12)
もちろん昆虫の養殖環境においても自然環境より圧倒的に高密度であり、何らかの感染症発生のリスクはゼロではないため、しっかりと衛生的な環境下で飼育することが大切です。

 

犬や猫にも広がる昆虫食!
肉類の食物アレルギーを持つ子への新提案


ヨーロッパや米国などのペット先進国では、犬や猫のご飯やおやつに昆虫食を取り入れています。その動きの理由にはもちろん環境や食糧危機への対策という意味合いもありますが、ペット先進国の人たちが注目している理由はもう一つあります。
それは、食物アレルギーへの配慮です。近年生活習慣の変化などにより、犬や猫の間では動物の肉類に対して食物アレルギーを持つ子が散見されるようになりました。
そんな問題を抱えている子の飼い主さんの間で、昆虫食は動物性タンパク質の代替という面でも注目されているようなのです。

ヒューペルでも地球と愛犬の健康を考えた犬用昆虫クッキー「スナッピーズ」を取り扱っています。
「昆虫って意外といいかも?」と感じていただけた方、ぜひ愛犬と一緒に昆虫食デビューをしてみてはいかがでしょうか。

 

犬用昆虫クッキー「スナッピーズ」 税込990円
詳しくはヒューペル公式オンランショップ

<参考文献>
  1. Arnold van Huis et al. Edible insects: Future prospects for food and feed security. FAO forestry paper 171. 2013.
  2. Ferry Leenstra et al. Environmental footprint of meat consumption of cats and dogs. LOHMANN Information Vol. 52(1),2018
  3. 総務省統計局“統計トピックスNo.128 我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで-”. https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1281.html(2022-6-15
  4. 一般社団法人ペットフード協会“令和3年全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリー” https://petfood.or.jp/data/chart2021/3.pdf(2022-6-15
  5. Bukwell, A. & Nadcu, E. What is the Safe Operating Space for EU livestock? The RISE Foundation. 2018
  6. Keya Mukherjee et al. Looking at edible insects from a food safety perspective. FAO. 2021
  7. FAO.“昆虫の食糧保証、暮らし、そして環境への貢献” https://www.fao.org/3/i3264it/i3264it.pdf(2022-6-15)
  8. 瀧澤健二. フードテックに向けて―エンドウ、ソラマメ、ヒヨコマメ、リョクトウ由来たんぱく質―. 月間フードケミカル2021年2月号 抜き刷り
  9. IPIFF. IPIFF Guide on Good Hygiene Practices. 2021
  10. Barragan-Fonseca, K. B. et al. Nutritional value of the black soldier fly (Hermetia illucens L.) and its suitability as animal feed – a review. Journal of Insects as Food and Feed.3(2): 105-120.2017
  11. Wang, Y. S. & Shelomi, M. Review of Black Soldier Fly (Hermetia illucens) as Animal Feed and Human Food. Foods. 6, 91; doi:10.3390/foods6100091. 2017
  12. Hideyuki Doi et al. The merits of entomophagy in the post COVID-19 world. Trends in Food Science & Technology 110. 849–854. 2021. https://doi.org/10.1016/j.tifs.2021.01.067
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