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暮らしと健康
獣医師執筆記事

伴侶動物の異物摂取にご注意

新年のご挨拶を交わしたと思いましたら、あっという間に節分も過ぎ、2月になってしまいました。しかも、第2週とは早いですね。
先週23日節分は旧暦では立春の前日で節分をすぎると新しい年の始まりと言われていますが、寅年が本格的に始まったといえるのかもしれません。

節分で福は内、鬼は外と声かけをして豆撒きをしますが、家の中に撒いたお豆を家のワンちゃんが拾って食べ過ぎてしまって、急患で見える事が時々あります。
大豆は1-2粒食べてしまったとしても問題にはならず、犬も猫も中毒は起こしませんが、撒いたそばから食べてしまい気づいたら沢山食べてしまっていた・・となると、お腹の中で膨潤して嘔吐やお腹を壊す原因になります。しかも、時には胃が膨らみすぎて深刻な問題になってしまうこともあります。
猫は好んで食べる事はあまりないと思いますが、犬は個包装のお豆でも袋ごと食べてしまうこともあるので要注意ですね。

異物摂取の現状

人と伴侶動物が近い距離で暮らすようになったことで良い事も沢山ある反面、「異物摂取」は増加傾向にあるようです。
この数十年の間に犬も猫も暮らしのメインステージが屋外から屋内に変化してきました。大型犬でも屋内をメインの生活場所にしている子は沢山いますね。

例えば「生ゴミ」を食べてしまうケースは多く、鯛などの硬骨魚類の骨、鶏の骨、焼き鳥の串などは大変危険な異物になります。
また、世間でも良く知られているネギ類は中毒を起こします。感受性の高い個体では、数日で赤血球の溶けてしまう溶血性貧血になることがあります。元気のなさや血尿などで分かることがあるので、日々注意してみてあげてください。
その他、人間の薬、家族の匂いのついた靴下や下着、布類、ペットシーツ、ぬいぐるみの目鼻やその中身の綿、最近ではマスクの誤飲も増えました。猫では小さな鼠などの玩具やねこじゃらし玩具の附属部分など、挙げればきりがありません。

異物摂取に対する処置

誤飲してしまったものの多くは数時間で胃から腸へ移動してしまいます。
通常異物が胃の中にあるうちは嘔吐を促す薬剤で嘔吐を試みますが、胃から小腸に移動している場合は全身麻酔をかけて内視鏡や開腹手術が必要になる事もあります。
特に猫で危ないのは紐状のものです。紐に関心を示すタイプの猫では遊びながら食べてしまい、そのまま胃から腸に紐が繫がったまま移動し、レントゲンを撮ると腸がアコーディオンのジャバラのようにつづら折りになってみえる命に関わる状態で来院する事もあります。こうなってしまった時は手術で丁寧に取り除く必要があります。

以前拝見したケースでは、ネコちゃんの舌の根本に縫い糸が絡んでいてその糸の先は食道から胃へと繫がって、更に先端に縫い針がついていたことがありました。
また、家の庭で自由に遊んでいた屋内生活の中型犬が、あるとき皮膚から尖った木が出ていてご家族がびっくりして来院されたこともありました。なんと、焼き鳥の串が胃から肝臓を貫通して出てきていたのです。どうやらご家族も気づかないうちに、庭に良く来る烏が運んできた串を庭で遊んでいたワンちゃんが取り込んでいたようでした。串は数週間か数カ月かけて身体の外まで出てきたようで、処置をして助かりましたが大血管を貫通していたら命に関わる怖いケースでした。

 

今回は少し怖いお話ばかりお伝えしてしまいましたが、伴侶動物と人との距離が近づくことで伴侶動物達の表現力/コミュニケーション能力など様々な能力は格段にアップし、人もまた、言葉ではない心の交流から得る変えがたいものを知り、「人と動物の絆」によってより良い伴侶動物ライフが実現しています。

現実面でも愛情の在り様からも、例えれば永遠の5歳児との暮らしではないかと感じます。環境を整えて生活を共にする事が大切で、伴侶動物との暮らしに向き合うことで、私達自身の暮らしに向き合う機会にもなるように思います。

 


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