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暮らしと健康

犬と猫の食事

はじめに


ワンちゃんネコちゃんが毎日食べるペットフードには、からだをつくる大切な栄養素がたくさん詰まっています。
今回は、人とワンちゃんネコちゃんの必要な栄養素の違いやフードの種類について紹介します。

犬と猫の食事


必要な三大栄養素

食物中に含まれる『たんぱく質・炭水化物・脂質』は三大栄養素と呼ばれ、必要とされるバランスは動物によって異なります。

【図.三大栄養素のバランス】1)
平均的な人の食事、ドッグフード、キャットフードに含まれる割合

①たんぱく質

人と犬猫では必要とする栄養要求量に違いがありますが、その中でも代表的なものがたんぱく質です。
成人の食事の栄養量を1としたとき、食肉目の犬猫は、人の約2~2.5倍のたんぱく質が必要とされています。

たんぱく質は、筋肉・皮膚・ホルモンなど、からだの構成や調節機能に関わる主要な成分であり、様々な種類のアミノ酸が集まってできています。
アミノ酸のうち、体内で作ることができず食事から摂取しなくてはならないものは『必須アミノ酸』と呼ばれ、何が必須アミノ酸なのかは動物の種類によって異なります。

【表.必須アミノ酸の違い】2)
犬は10種類、猫は11種類が必須アミノ酸(表中の●)

また、たんぱく質を構成するアミノ酸とは異なりますが、猫の場合、タウリンを体内で合成できないため、食事から摂取しなくてはなりません。

※タウリンとは?
たんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質です。
欠乏すると網膜変性や心筋症を引き起こすことが知られており、市販のキャットフードには必ず含有させる必要があります。猫のタウリンの要求量は犬や人以上に多く、キャットフード以外のもの(手作り食など)を与える場合は添加が必要です。

②炭水化物

食物として体内で消化・吸収されエネルギー源となる糖質と、体内の消化酵素では消化できない食物繊維に分類されます。

糖質の働き:糖の最小単位であるグルコースにまで分解され、エネルギー源として使われる。血糖として血液中に存在するほか、核酸や脂肪の構成成分やビタミンCの合成にも欠かせないもの。
食物繊維の働き:犬や猫でも、消化管内の環境を整えるなどの働きがある。

③脂質

体内で合成され、エネルギー源となったり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける成分です。また、体内では作ることができず、食事として摂取しなくてはならない『必須脂肪酸』の供給源です。
犬ではリノール酸、猫はリノール酸とアラキドン酸が必須脂肪酸とされています。

④その他の栄養素(ミネラル)

からだに必要なミネラルのうち、主に食塩の形で摂取されるナトリウムがあります。
人は皮膚の汗腺が発達しているため、汗をかくと同時にナトリウムを排出しますが、犬や猫は汗腺がほとんど発達していないため、ナトリウムの必要量は人の10分の1以下とされています。手作り食を与えるときは、塩分の過剰摂取に注意しましょう。
⇒犬猫が食べてはいけないものについての記事はコチラ

水分の要求量


水分は栄養素には含まれませんが、成犬・成猫のからだの60~70%は水分で構成されており、生命維持にとって最も重要な物質です。
栄養素の運搬や老廃物排出のための溶媒や体温調節として機能しており、排泄や汗、呼吸によって体内から失われますが、体内に余分に蓄えることができないため、常に摂取する必要があります
また、水分の要求量は食事や気温、運動量などによって変化します。

特に、猫は水を飲む習慣が乏しく、主に食物から水分を摂ります。
そのため、ドライフード主体の食事では、相対的に水分摂取量が減ります。水分が少ないと尿量も減り、下部尿路疾患のリスクが高くなるため、これを防ぐために結石成分の少ない食事内容にするといった工夫が必要になります。
また、猫は腎臓での水の再吸収能力が高いため、水分の多い缶詰フードを与えられている場合は、飲水量がかなり少なくなることがあるようです。

ペットフードのタイプと特徴


ペットフードは含まれる水分量によって、主に3種類のタイプに分けられます。

●ドライフード
水分含有量が10%以下で、代表的な呼び方は「カリカリ」。粒状で、アルファ化という加工過程を経ることで消化がしやすくなっている。形状には顆粒状、フレーク状のドライフードがある。
特徴:栄養素の調節がしやすい。保存性が高い(常温で長期保存ができる)。与えやすい。

●セミモイストフード

水分含有量が25~35%程度の半生タイプ。製造時に発泡処理が行われていないフードのことを指す。(発泡処理を行っているタイプはソフトドライフードと呼ばれる。)
特徴:柔らかく食べやすい。嗜好性が高い。

●ウェットフード

水分含有量は75%程度と水分が多い。魚肉や獣肉が原材料のオールミートタイプと、植物性の原材料やビタミン・ミネラルなどを添加したレーションタイプがある。
特徴:水分が多く酸化が早いため、開封後の保存には注意が必要。

最後に


今回は、犬や猫が必要とする栄養素の割合やペットフードの種類と特徴について紹介させていただきました。
必要な栄養素の違いなどからわかるように、知らずに手作り食を与えたり、犬にキャットフード、猫にドッグフードを与えたりしてしまうと、大切なワンちゃんネコちゃんの健康を損なう原因となってしまうかもしれません。
また、栄養要求量は、動物種やライフステージ、からだのサイズ、年齢、疾患など多くの要因が関係しています。
それぞれのライフスタイルに配慮した食事で、健康生活を目指しましょう!

 

<参考文献>
1.公益社団法人日本愛玩動物協会. 犬と猫との暮らしの教科書, 2019.
2.公益社団法人日本愛玩動物協会.愛玩動物飼養管理士第2巻, 2021.
3.山根義久 監修.イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版, 2012.
4.厚生労働省. e-ヘルスネット.
5.厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書.

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