実はすごい!犬の社会性
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、ペットの飼育頭数は増加傾向にあります。
そんな中、在宅勤務などでワンちゃんと過ごす時間も増えており、今やワンちゃんは家族と呼べる存在となってきています。今回はそんなワンちゃんの素晴らしい能力をご紹介したいと思います。
チンパンジーより人間と近い?
ワンちゃんの飼い主さんは覚えがあると思いますが、普段の生活でワンちゃんが空気を読んで飼い主さんにちょっかいをかけてきたり、アイコンタクトをとってきたりすることがあると思います。実はこの行為、他の動物では難しい行動であると言われています。
ある実験で、イヌ、チンパンジー、オオカミを用いて、遠くに置いてある餌を人のアイコンタクトや指差しに従って発見する事できるか、という検証をおこないました。結果、イヌは簡単に餌を発見する事ができましたが、一方でイヌの祖先であるオオカミ、ヒトと遺伝子的に近いチンパンジーでは難しいことが示されました。
以心伝心?
また、ワンちゃんには交互凝視ができると知られています。交互凝視とは視線によるコミュニケーション行動の一つです。
交互凝視には段階があり、まず相手が何を見ているかの「確認」、その後自分の見ている物を理解させようとする「催促」、さらに自分の感情を伝える「共感」があります。ワンちゃんはこの相互凝視の「催促」までできると言われています。
この交互凝視の検証方法はとても簡単です。
まずは容器に餌を入れ、ワンちゃんに自由に餌を取らせます。その後、餌が自由に取れないように蓋をします。すると、最初ワンちゃんは蓋を開けようとしますが、取れないとわかると飼い主さんを振り返り「開けて―」と視線を送るようになると思います。これが「催促」の視線です。簡単にできる検証なので、お家にワンちゃんがいる方はぜひ試してみてください。
最後に
犬と人間は長い歴史の中で共に協力して生きてきました。その過程において犬と人間のあいだには言葉を介さない、独特なコミュニケーションの取り方が生まれたと考えられます。
日々、私たちに癒しを与えてくれる大切な存在である愛犬は、何か要求があっても言葉で伝える事ができません。言葉が話せない分、飼い主さんがワンちゃんの視線にいち早く気が付いてあげたいですね。
参考文献
Hare, Brown, Williamson, & Tomasello, 2002
菊水健史. オキシトシンによるヒトとイヌの関係性: The Japanese Journal of Animal Psychology ,2017