マイクロチップを装着していますか?~マイクロチップの義務化について~
春が深くなりましたね。すでに東京では25度を越える夏日が記録され、半袖で過ごす人々もみかけられるようになりました。近隣で芍薬の大きな赤い花が咲いているのを見かけ、今年も元気に咲けたのだなと、季節の巡りを感じています。
マイクロチップとは
さて、すでに初夏の気配を感じる日々ですが、皆様のおうちの伴侶動物はマイクロチップを装着していますか?
今年の6月1日から全国的にマイクロチップ装着が義務化するというお話を聞かれたことのある方もいらっしゃるのではないかと思います。
正確には犬や猫の販売業の方々は完全義務化、一般の家庭で暮らす動物達は努力義務となります。
マイクロチップの情報があまりなく、「そもそもマイクロチップってどういうもの?」「何の為に装着するの?」「動物の身体の中にいれて大丈夫?」など様々な疑問を持っている方々もいらっしゃると思います。必要なものなのかどうか迷われている方もいらっしゃるかもしれません。
私の意見としては、動物の福祉と権利を守るためには装着はお勧めしたいと思います。
マイクロチップには世界でただ一つ、その動物だけの15桁の番号が記録されています。こちらの番号はISO規格(国際規格)の個体識別番号となり、その動物がAさんのところのBちゃんであるということが証明できる番号となります。
例えば災害があったときなど、家族と離ればなれになってしまった動物が迷子になっても保護された先でマイクロチップをリーダーで読み込んでもらえれば、家族を特定することができて家に帰ることができるのです。
もしも盗難にあったり、迷子になった先で事故にあって動けなくなったりしても、リーダーで番号を認識できればその動物の個体識別ができるので唯一無二のうちの子を取り戻せる可能性が高まり、自力で帰ることができない窮地にあっても周囲の人の力で家族の元に戻せる可能性が高まるのです。
マイクロチップの装着まで
マイクロチップは皮膚の下に専用の注射器で装着します。通常は麻酔などはなしで埋め込むことができ、時間も本当に一瞬で終了します。その後も問題がおきる可能性は(個体差はありますが)非常に少ないと思います。
デメリットとしては、マイクロチップを入れた部位の周囲はMRI撮影を受けた時に画像が見えないということがありますが、それを越えて装着のメリットの方が大きいと思います。
マイクロチップそのものの大きさは、およそ直径が2mm、長さが12mmほどです。(写真参照)注射器の針は少し太めですが、通常の診察時に入れることはできます。
それでも現場では、不妊手術の時に目が覚める前に装着する場合が多いです。
装着する際はISO国際規格のマイクロチップを装着するように専門家に相談、確認をしましょう。
今後は今までの民間登録団体での登録から制度が変わり、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」が今年(令和4年)の6月1日から始まります。
すでにマイクロチップを装着している家庭の動物達の家族は、その前(今年の5月31日まで)に移行登録サイトにアクセスして登録をするのが良いそうです。
今後マイクロチップを読まれる事態になった時に優先的にリサーチされるのがこの新しいサイトのようなので、皆様も是非アクセスしてみてください。
最後に
今まで数十年に渡り当院でもマイクロチップの装着は進めて参りましたが、通常マイクロチップ装着は動物病院で行うことができます。今後販売される犬と猫はすでにマイクロチップが装着された状態で家族の手許に来ることになると思います。
マイクロチップは外見上、装着しているかどうか一見わかりませんが、リーダーで読み込むと多くは首のやや後ろの背中側で番号の読み込みができます。時にその場所で読めないこともあるため、リーダーを読み込む側は念のため全身スキャンをしてみます。また、レントゲンをとると一目で分かります。
マイクロチップを入れていても、普段からしている首輪や名札は是非つけておいてください。リーダーで読み込まなくても連絡先がわかるものを身に付けていることはより簡単に家に戻れる手段となります。
大切な家族のためにできることの一つとして考えていきましょう。
参考URL 環境省
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html#Q11
柴内晶子先生が執筆された
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