犬猫の健康管理と家庭でのチェックポイント
はじめに
一緒に暮らしているワンちゃんネコちゃんの健康管理、どのくらいしていますか?
ワンちゃんネコちゃんは、体調が悪くても言葉で伝えることができません。
そのため、毎日健康に過ごしてもらうためには、飼い主による健康管理が大きな役割を担っています。
今回は、健康管理の意義とご家庭での健康チェックのポイントについてご紹介します!
健康とは
健康とは、宿主・病因・環境の3つのバランスが取れた状態のことをいいます。反対に疾病とは、宿主が病因・環境とのバランスを失ってしまい、正常な体の機能や働きが阻害されている状態のことをいいます。
宿主を取り巻く病因や環境は時間の経過とともに変動しており、宿主はそれらの変化に適応しながら3つのバランスの調整を行うことで、健康を維持しています。
バランスの取れた食事や適切な運動、また予防接種などで宿主の適応力を高めるとともに、周辺環境の改善や病因物質を減らす方向へと管理することが、健康増進と疾病予防の基本といわれています。
健康管理の意義と法律
意義
ペットは不調や痛みがあっても我慢強く、症状を隠そうする傾向があります。
そのため、いつもそばにいる飼い主が毎日よく観察することで、早く不調に気付くことができ、病気の早期発見や治療につながります。
さらに、ご飯と水と住環境を整えれば全てのペットが健康に過ごせるわけではありません。
群れで生きるペットには人を含めた仲間が必要であり、単独で生きるペットには一匹で過ごせる時間や環境が必要というように、それぞれの習性に合った生活ができるよう配慮することも大切です。
法律
日本では、動物の愛護および管理に関する法律として『動物愛護管理法』が定められています。
動物愛護管理法とは、人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とした法律で、動物の飼養に関するガイドラインや飼い主の責任などについて記載されています。
【動物愛護管理法(第7条)】
社会には、動物が苦手な方やアレルギー体質で動物に近づけない方もいます。社会的にペットを受け入れてもらえる環境を保っていくためにも、そのような方も安心して過ごせるよう飼養マナーを守りましょう。
健康管理のポイント
家庭でのチェック
ペットのしぐさや食欲、飲水量、毛づや、ウンチなどは健康のバロメーターとして重要です。日頃からよく観察し、記録を取るなどしておくと、異常の早期発見につながります。
✅排泄物のチェック
オシッコ、ウンチの回数や頻度、量、色、状態、ニオイなど。排泄前後や排泄中のしぐさに普段と違う様子がないかどうかも観察する。
✅しぐさや行動のチェック
呼吸の仕方、歩き方、食べ方、寝姿、毛づくろいの様子など。普段はしないしぐさや行動を見せていないか、鳴き声を上げていないかなども観察する。
✅ボディチェック
人に触られることが苦手でないペットは、全身をなでて、皮膚の状態や腫れ、しこりがないかをチェックする。関節に触れたとき嫌がったりしないかなど、触られたときの反応から健康状態を知ることができる。
また、首輪などペットが身につけているものもチェックする。古くなっていたり、サイズが合っていなかったり、汚れていたりすると、ペットの健康にも良くありません。
✅生理基礎データの測定
体温や呼吸数など見た目では分かりにくい生理データを測定しておくと、異常が起きたときに健康な状態のデータと比較することで、異常の程度を把握しやすくなる。
●心拍数:大型犬 60~80回/分、小型犬 80~120回/分、猫 130~160回/分
●呼吸数:20~30回/分
動物病院での健康診断
家庭での健康チェックと合わせて、動物病院でのワクチン接種や健康診断(ペットドック)も大切です。
健康診断の受診の目安としては、7歳までは年1回(大型犬は5歳まで)、それ以降は半年に1回といわれています。身体検査、血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査などを受けることで、家庭では分からない病気の早期発見につながります。
⇒動物病院での健康診断について、獣医師による執筆記事はコチラ
最後に
適正な健康管理を行うことは、病気にかかるリスクを減らすことにもつながります。もし普段と様子が違うなど、異変に気が付いたら早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
また、ペットの種類やライフステージによってもかかりやすい病気は異なりますので、我が子がかかりやすい病気や代表的な病気の症状、その予防法について知っておくと良いでしょう。
大きな病気にかかってしまわないように健康維持をすることは、ワンちゃんネコちゃんとより長く楽しく健やかに過ごしていくために、とても大切です。
日々の健康チェックで健康管理をしていきましょう!
<参考文献>
1.公益社団法人日本愛玩動物協会. 犬と猫との暮らしの教科書, 2019.
2.公益社団法人日本愛玩動物協会.愛玩動物飼養管理士第2巻, 2021.
3.山根義久 監修.イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版, 2012.
4.環境省. 知っていますか?動物愛護管理法.
5.環境省. まもれますか?ペットの健康と安全.