犬と猫にも健康診断は大切!
すっかり初夏の風が吹いていますが、最近は線状降水帯(急に積乱雲が同じ場所で発生して降雨し被害が予測される)の発生や、急な雹の発生による被害なども報告され、数年前とも異なる状況が起きていますね。木々の緑は盛りと美しいですが、大気が不安定だと様々なことが起こりそうで、1日の中でも注意が必要ですね。備えをしながら生活していきたいです。
はじめに
さて、伴侶動物との生活でも備えが大切です。備えにも色々ありますが、今回の備えは健康状態を知る備えです。
伴侶動物は永遠の5歳児だな…とその姿を眺めながら思います。というのも15歳になってもその年なりの振る舞いの変化はあっても、いつまでも可愛く愛らしい姿はあまり変わりません。
勿論自立もしませんし、最後まで私達の家族として比護を受ける立場で暮らしていきます。そして愛情の交換は終生変わらず、口げんかも考え方の違いで対立することもなく、愛情を傾けるとダイレクトに返してくれる存在のままです。(動物との関係性になんの確執も悩みもないという意味ではありませんが)
それだけに、あっという間に過ぎていく時間の中でその年齢をつい若いままのように感じてしまいがちですが、年齢を人に例えて換算してみると健康状態を知る備えの大切さについて少しイメージが湧きやすいと思います。
犬と猫の年齢を人換算(およその比較)
1歳⇒人の18歳くらい
2歳⇒20歳を越えたくらい
5歳⇒30歳-35歳くらい
8歳⇒50歳前後
10歳⇒還暦をすぎたくらい
14歳⇒75歳から80歳の間くらい
※日本の犬と猫の平均寿命は14-15歳ほど
※(社)ペットフード協会調べ
様々な換算方法があるので、今回はおよその目安をお伝えしました。
健康状態の把握と身体のメンテナンス
このように犬と猫の年齢はどんどん進みます。その中で私達が予測しているより早く、動物達の身体の変化や老化も進んでいくことになります。のんびりと暮らし動物病院いらずのまま20歳まで暮らせる犬や猫も時にはいますが、多くは伴侶動物として家族の一員としての医療メンテナンスを行い、急な状態の悪化によりつらい思いをしないように備えることが家族にとって良いと私は考えています。
私の猫も私が幼い頃は半分屋外で暮らし、きままに縁側から家を出入りしていました。今は時代も生活様式や家屋の構造も変化し、特に都会では猫は屋内で暮らすことが基本となり、犬もまた大型犬でも屋内で共に暮らすことが通常になりつつあります。実際、家の中でコミュニケーションが濃厚になるほどに犬も猫も能力アップ!しているのを感じます。
それだけに、身体のメンテナンスと状態の把握をしていくことが大切であり、また、身近で生活し全体の状況を把握しやすくなっていると思います。
犬と猫にも健康診断を
皆さんが人間ドックをお受けになるように、犬と猫も健康診断を受診させてあげてください。
推奨される方法は、1歳から年に1度バースデイ健診を受けることです。忘れにくく、年齢を意識する上でも有効かと思います。
検査内容は主治医とご相談頂きたいと思いますが、身体検査、血液検査(様々な項目があります)、X線検査、超音波検査、尿検査などがあります。
特に大人になる前、不妊手術を受ける前にこうした全身麻酔術前検査を受ける場合は、ご家族の希望でできるだけ広い範囲の検査を行いたいという場合と検査項目をチョイスして行う場合がありあます。ただ、大人になる前には見つけておいた方がよい「先天的な疾患」を早期に発見できる機会でもあるため、検査項目をチョイスする場合は良く検討した上で決定してください。(先天的な心疾患には超音波検査が有効など様々あります)
また、個体毎に正常の数値の傾向が異なる「個性」がある場合もあるので一番健康だと思われる時期からその個体毎のデータを蓄積していくことは有益です。(例)いつも少し正常下限を下回る白血球の数の子がいたとしても、それは病気ではなくその動物の正常の数値である場合なども経験しています。)
ただ、MRIやCTなどの検査は全身麻酔をかけないと正しい検査ができないため、ルーティーンな健診では通常は行われないことが多いです。
そして、およそですが、5歳-7歳以上になると悪性腫瘍なども含めた深刻な疾患などが起きる可能性も増加してくるため、ある程度広めの項目で検査を受けておくことをお勧めします。
私は人間の家族(笑)も自分自身もうちの動物達も心配だとすぐに検査をしたい性格なので、当院にいらっしゃったご家族には健診の重要性を常にお知らせしています。
また、残念ながら人間同様に健診にも検出限界がある(できるだけ広い範囲に検査をしても疾患の早期のものなど検出しきれないものがある)ことと、人に比べて年齢の進みが早いので年齢の換算の仕方次第ではありますが、2ヵ月~2ヵ月半で人間のおよそ1年に当たるため健診をしていてもその間に急激に起こる腫瘍なども実際にあります。
主治医の先生によって方針が異なる部分はあると思いますが、まずはよく話し合い、おうちの伴侶動物にとってどういう方向で健康管理をしていくのが適しているのか、またご家族の方針にも合っているのかを検討していかれることがとても大切です。
是非、ドッグドック/キャットドックのご検討をなさってみてください。
柴内晶子先生が執筆された
人と動物の絆~Human Animal Bond~ 記事一覧はこちらから