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暮らしと健康
犬猫の口腔内について

愛犬愛猫のお口の健康

私たち人と同じように、ワンちゃんネコちゃんも歯の病気にかかってしまうことを皆さまはご存知ですか?私たちは毎日歯磨きをしていますが、ワンちゃんネコちゃんも歯のお手入れをしないと歯周病などの病気にかかってしまいます。
この記事では、愛犬愛猫の歯と口腔内細菌についてご紹介します!

知ってる?~人と犬猫の歯の違いについて~

みなさんは、犬と猫の歯が人とどのように違うのかご存じでしょうか?
人では年齢が上がるとともに乳歯から永久歯へと抜け替わりますが、犬と猫も同様に歯の抜け替わりがあります。しかし、その抜け替わり時期や歯の本数には違いがあります。

人では一般的に28~32本の歯が6歳前後で生えそろいますが、犬では生後約3~8週齢で28本の乳歯が生えそろい、その後は約13週齢で抜けはじめます。乳歯が抜けた後は永久歯が生後3~6ヶ月で生え、最終的には42本の歯が生えそろいます。
猫では、生後2~8週齢で26本の乳歯が生えそろい、永久歯が生後3~6ヶ月で生え変わり、最終的には30本の歯が生えそろいます。

また、犬と猫では食性によって歯の形状にも違いがあります。
(犬猫の食性については、別の記事にまとめているのでぜひご覧ください。
犬と猫の味覚って?~食べ物の好き嫌いについて~

犬は雑食性のため、獲物を捉えるための犬歯だけでなく、お肉や植物性の食べ物をすり潰すための裂肉歯と呼ばれる臼歯も生えていることが特徴です。
一方、猫は完全肉食性で全体的に歯が鋭いのが特徴です。特に、猫の切歯は非常に小さく、食べ物を食べるためではなく、毛づくろいの時のくしとして使われることがほとんどです。

口の中にも菌はたくさん!人と犬猫の口腔内細菌について

菌といえば腸内細菌叢を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、お口の中にも多種多様な菌が潜んでいます。お口の中に住んでいる菌の総称を「口腔内細菌」といい、これらは歯の表面や歯周ポケット、また舌の表面など、口の中の部位によって異なる細菌叢を形成しています。

最近では、人や犬猫の口腔内細菌に関する研究が進んでいます。人の口腔内からは約1200種の細菌が特定され、腸内細菌叢に次いで多くの細菌が生息しているとも言われています。
一方、犬の口腔内細菌は約400種近く、猫は200種近く特定されており、今後の研究でその数はさらに増えると見込まれています。

また、犬の口腔内細菌のうちヒトと共通する菌種は約16%と言われています。食事や生活の違いによって腸内細菌叢が異なるのと同じように、人と犬猫の口腔内細菌叢も大きく異なることが予想されています。

このように人とペットでは口の中といった小さな箇所でも大きく異なってきます。
本記事シリーズではそれらを含めた、お口に関することについてお伝えし、飼い主さんの知識を深めるためにお役立ていただければと思います。
次回の記事では、ペットのお口の中で起きるトラブルについてお伝えいたします。

シリーズ記事一覧

参考文献

歯の本数の数え方、Let’s L8020、8020推進財団、閲覧日2021年12月24日、https://www.8020zaidan.or.jp/what/count.html

監修:愛玩動物飼養管理士認定委員会、愛玩動物飼養管理士2級第1巻・第2巻、公益社団法人日本愛玩動物協会/瞬報社写真印刷株式会社、2020年4月1日

監修:山根義久、イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版、パイ インターナショナル/図書印刷株式会社、2012年11月10日

Floyd E. Dewhirst, Erin A. Klein, Marie-Louise Bennett, Julie M. Croft, Stephen J. Harris, Zoe V. Marshall-Jones , The feline oral microbiome: A provisional 16S rRNA gene based taxonomy with full-length reference sequences , Veterinary Microbiology , Volume 175, Issues 2–4 , 2015 , Pages 294-303

Dewhirst FE, Klein EA, Thompson EC, Blanton JM, Chen T, Milella L, et al. (2012) The Canine Oral Microbiome. PLoS ONE 7(4): e36067.

企画:山崎和久,口腔細菌叢 健康と病気を操るもう一つの生態系,羊土社,2021年9月17日

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